中国の「脱ゼロコロナ」の株式市場への影響


今年になっても他の先進国とは違って「ゼロコロナ」政策を続けてきた中国だが、2022年も後半になってようやく「脱ゼロコロナ」へと舵を切り始めた。中国経済が正常化することによって、株式市場にいい影響は及ぶのだろうか。

まだ「ゼロコロナ」政策を続けていた中国

2020年から続いてきたコロナウイルスのパンデミックだが、今年になると日本や欧米の多くの国は感染を完全に撲滅する考えを捨て、「ウィズコロナ」の共存への道を探り始めた。日本でも感染者数はまだ多いが、重症者・死者は減っておりすでに社会生活の制限はあまり課されなくなった。

それに対して中国は2022年になっても「ゼロコロナ」政策を続け、上海や他の主要都市でロックダウンを何度も行ってきた。その結果今年の中国経済は低迷し、成長率などは低いまま推移してきた。

ようやく「脱ゼロコロナ」に舵

しかしさすがの中国も、2022年も後半になると感染をゼロにすることを諦め「脱ゼロコロナ」について考え始めている。これから来年にかけて少しずつ脱ゼロコロナ政策を進め、2023年中にはロックダウンなどを止める方針のようだ。

そうなるとこれまで3年続けられてきた経済活動への制限がなくなり、中国経済はコロナ禍の3年間より大きく成長することも期待できる。

株式市場にプラスの影響は出るか

中国が脱ゼロコロナを進めると、株式市場にはどのような影響が出るだろうか。過去数年の株式市場の動きを見てみよう。主要株価指数を見ることができるサイトはいろいろあり、例えば海外CFD業者のEasymarketsのサイトがある。

株式市場は2020年春のコロナ禍開始で大暴落し、日本の日経平均株価やアメリカのダウ工業平均といった主要株価指数も暴落した。だがその後は世界各国が大規模な金融緩和を行ったためにかつてないほど高騰。日経平均もバブル後初となる3万円をつけた。

世界経済が回復なら株にもプラスだが

しかし2022年になるとインフレ抑制のために多くの国が金融緩和を止めて引き締めに転換した。そのため株価は年初から下がり続け、特にアメリカのNASDAQ指数などは年初から最大40%ほども下げた。

この状況で中国が脱ゼロコロナを進めたら、少なくとも中国経済は回復し世界経済にはプラス要因となる。そして世界経済が回復すれば株価にとっては買い材料となるが、その一方でインフレ抑制の利上げが今後も続けられることにもなる。利上げが続けられることは株式市場にとってはマイナス材料だ。

したがって中国の脱ゼロコロナは必ずしも株価を押し上げるとは言えない。株式市場にとってはプラスとマイナスの影響が両方あり、結果として中国の脱ゼロコロナだけで株が大きく上がったり下がったりすることはないのではないか。

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