エゴグラムの性格相性診断と性格を変えるための活用方法

エゴグラムとは誰もが持つ5つの自我状態の勢力構造を図式化したもので、その型から性格を分析することができます。

分析方法はチェックリストによるテストに答えて計算し、その結果をグラフ化することで自分のエゴグラムパターンが分かります。

今回は、エゴグラムタイプの特徴や傾向の分析方法、相性の診断方法や改善方法を解説します。

「現在の性格を変えたい」という方のためのエゴグラム活用方法についても詳しく解説するのでぜひ参考にしてみて下さい。

エゴグラムとは

エゴグラムとは、エゴ(自我)+グラム(図)という意味であり、人の自我状態(心理状態)の勢力構造を図式化し、心の在り様を分析する方法です。

人の心には、たったひとつの人格があるわけではなく、様々な自我状態がひしめき合い、時と場合によって強くなったり弱くなったりするため、どの自我状態が強いかは、その時々によっても個人によっても違います。

エゴグラムのパターンを調べて分析することで、意外に分かっていなかった自分自身の心を客観的に捉えることができます。

知らなかった自分を再発見し、人間関係や目標達成などに活かしてみましょう。

ジョン・M・デュセイが考案した性格診断法

エゴグラムは、アメリカの心理学者エリック・バーンが打ち出した交流分析(心理療法のひとつ)の、P(親)、A(大人)、C(子供)という3自我状態のコンセプトを下地に、その弟子ジョン・M・デュセイが考案した性格診断法です。

ジョン・M・デュセイは、師であるバーンの分析法よりもさらに細かく5つの自我状態を基本に分析する方法となっています。

人の心を5つに分類したグラフで表わされる

デュセイが考案したエゴグラムは、先ほどもお伝えしたとおり、5つの自我状態の強さを棒グラフ化したもので、パーソナリティの様々な面の関係性と、どのような心理が外に出ているかを示すものとされています。

しかし、デュセイによるエゴグラムは、現在日本で普及している質問形式ではなく直感で行う分析法です。

出典:知らない自分が見えてくる・エゴグラム活用の試み

デュセイの直感で行う分析方法は、まず初めに自分が最もよく使う心理機能、つまり自分の最も特徴的な面を一番高い位置に描き、次に自分が最も使わない心理機能と考えられる面を一番低く描きます。そして、その他心理機能の3つの棒は、最高値・最低値と比べて相対的に描いていきます。

このデュセイの分析法が日本に伝わり、質問形式によるチェックリストが開発されて一般的になりました。

性格とは、両親から受け継がれたもの、育てられた環境、年齢や経験など、たくさんの要素で複雑に形成されていくものですが、大きく5つの自我状態(心の領域)に分類できると考えられています。

エゴグラムの診断方法

ではさっそくエゴグラムの診断方法について紹介します。

質問の答えを集計し、点数化してグラフにする

5つの自我状態についての質問が各10問の合計50問あります。

質問に対しての答えは「はい」「どちらでもない」「いいえ」の3択となっており、以下のそれぞれの点数(表)を合計し、CP、NP、A、FC、ACの順にグラフ上に点を打って折れ線グラフにします。

はい どちらでもない いいえ
2点 1点 0点
CP
  1. 待ち合わせの時間は守りますか?
  2. 道徳に反する行動をしませんか?
  3. 規則、ルールを守りますか?
  4. 自分や他人の過ちを責めますか?
  5. 他人の無責任な行動が許せませんか?
  6. 人との約束を守りますか?
  7. 借りた物を期限までに返しますか?
  8. 他人の不正を許せませんか?
  9. 一度決めた目標は完遂しようと努力しますか?
  10. 一度決めたことは完遂すべきだと思いますか?
NP
  1. 他人を褒めますか?
  2. 他人の失敗を許せますか?
  3. 他人や動物の世話が好きですか?
  4. 困っている人をみると助けますか?
  5. 赤ちゃんや小さい子を可愛がるのが好きですか?
  6. 他人の話をしっかり聞きますか?
  7. 他人から相談を受けたら、相手の立場や気持ちに立って考えますか?
  8. 他人からの反論を尊重できますか?
  9. ちょっとしたプレゼントやお返しにこだわりますか?
  10. 20.初対面であっても自分の方から挨拶しますか?
A
  1. 物事を考えるとき、事実を論理的に分析しますか?
  2. 結果が予想外だったとき、その理由を突き詰めますか?
  3. 感情的になることはありませんか?
  4. 何か問題が起きたとき、根本原因を突き詰めますか?
  5. 数学の証明問題や推理小説が好きですか?
  6. 将来の夢や目標のため、長期計画を立てて努力しますか?
  7. 新聞の政治面、社会面をよく読みますか?
  8. 結果を予測したうえで計画的に行動しますか?
  9. 自分の考えや行動の善し悪しを客観的に評価できますか?
  10. 仕事やプライベートの予定や記録を付けていますか?
FC
  1. 楽観的なほうですか?
  2. よく笑うほうですか?
  3. 好奇心が強いほうですか?
  4. やりたいことが多いですか?
  5. 上手に気分転換できますか?
  6. すごい!、へえ!といった感嘆詞をよく使いますか?
  7. 趣味は多いですか?
  8. 空想の世界に没頭することがありますか?
  9. 新しい物に触れたり、行ったことのない場所へ行くのが好きですか?
  10. 自分は茶目っ気があると思いますか?
AC
  1. 後悔することがありますか?
  2. 行動するとき、他人から良く思われようと意識しますか?
  3. 相手の気持ちを気にして自己主張できないことがありますか?
  4. 他人の顔色をうかがってしまいますか?
  5. 人前に出るより裏方へ回りがちですか?
  6. 快くないことがあっても口には出しませんか?
  7. 自分は悪くなくても謝ることがありますか?
  8. 協調性があるほうですか?
  9. 他人に遠慮しがちですか?
  10. 親や教師、上司などの指示に素直に従いますか?

質問は以上の50問になります。

点数の高さと低さで自我状態を表わす

5つの数値の位置に点を打ち、グラフの数値が高い部分はその自我状態の傾向が強く、数値が低い部分はその自我状態の傾向が弱いということになり、自我の傾向やバランスで、その人の性格や心理状態が分かるといわれています。※棒グラフでも可

自我状態の見方

数値が高い自我は、行動や態度など表面に現れやすく、いつも使っている心理機能で、数値が低い自我はあまり使っておらず、発達させれば伸びしろがある心理機能ともいえます。

エゴグラムが表わす5つの性格パターンは?

診断方法がわかったところで、5つの自我状態が表す性格パターンを紹介します。

自分はどの心理的要素が一番強く、弱いのか、結果を手元に置いて確認してみましょう。

CP(支配性)

CP(Controlling Parent:支配的な父親)は、理想的な自分であろうとする自我状態であり、自分の価値観を強く信じる厳しい心です。

CPが高いと、理想や向上心、使命感や責任感をもって行動し、完全主義になる傾向があります。

誠実で倫理的ですが、CPの自我が強すぎると独善的になったり頑固になったりし、厳格なあまり他人に批判的になることもあります。

一方CPが低い人は、怠惰、中途半端、無責任、ルーズ、目標意識が低いなどの面が出てくる傾向があります。

NP(寛容性)

NP(Nurturing Parent:世話する母親)は、他人への愛情や思いやりに基づいて行動しようとする自我で、世話好きで保護的な優しい心です。

NPが高いと、肯定的で他人への理解力に富み、親切で面倒見が良い性格になる傾向があります。

しかし、NPの奉仕的な自我が強すぎると、お節介だと思われてしまったり、過保護によってかえって相手の自立や成長を妨げてしまう場合もあります。

いっぽうNPが極端に低い人は、冷淡で他人を拒絶したり、自分のことしか関心がなく、自らの利益のために他人を利用する傾向があります。

A(論理性)

A(Adult ego state:大人の自我状態)は、現実に重きを置き、知的で計算力に優れ、頭脳明晰で論理的な心です。

Aの自我が強いと、自分の感情をうまくコントロールできますし、合理性・客観性・計画性にもとづいた判断力にも優れるため、何事も合理的に効率よくこなすことができます。

しかし、Aが強すぎると、打算的、理屈っぽい、冷たい、などの印象を持たれてしまうこともあります。

一方Aが低い人は、非合理的な性格になる傾向があり、物事をあまり深く考えず失敗を繰り返しがちだったり、計画性がなく衝動的な行動をとりがちです。

FC(奔放性)

FC(Free Child:自由な子共)は、明るく好奇心旺盛、純粋かつ自由奔放な心で、自己中心的な子供の自我状態です。

FCが高いと、楽しみや自分の感情を大切にするとともに、周囲の人々を楽しませるユーモアのセンスも持っています。

FCが高い人は、自分の気持ちを隠さず表現し、好奇心をもって新しいことに挑戦したり、人見知りが少なく、他人とスムーズに交流することができます。

しかし、FCばかり高すぎると、TPOをわきまえられなかったり、思ったことをすぐ言葉にしてしまうなど、自己中心的な行動をとってしまうことがあります。

いっぽうFCが低い人は、閉鎖的で暗い性格になる傾向があり、表情や言動から感情が分かりにくかったり、楽しむことが苦手などの傾向がみられます。

AC(順応性)

AC(adapted child:順応した子供)は、従順で協調的な心です。

ACが高いと、他人の意見を素直に聞く傾向があり、協調性が高く、周囲の期待に応えようと頑張ります。

協調的な「良い子」なのですが、他人の評価を気にして遠慮がちになり、自分の考えを言えなかったり辛いことでも我慢してしまうため、ストレスを溜めこみやすい傾向があります。また、消極的で主体性に欠ける傾向もあり、自分以外の人に依存しがちです。

いっぽうACが低い人は、他人の意見を聞かなかったり好き勝手に行動するなど、マイペースで自己中心的になる傾向があります。

ACは低いほうがいい?

ACは、ストレスや生きがいの感じ方と関わりが深く、ACが強い従順な人はストレスを感じやすく、生きがいを感じにくいといわれているので、ACは普通~低いが良いようです。

診断結果から見る10の性格パターン一覧

ここからは、折れ線グラフの形から見える性格のパターンです。棒グラフの方は先端を点と線でつなげて折れ線グラフを作ってみましょう。

具体的な性格パターンで、「全部当たっている」、「一部当たっている」、「全然ちがう」など様々な結果とは思いますが、自分が気づいていない性格の可能性もあるので参考にしてみてもいいかもしれません。

への字型エゴグラム

エゴグラムは、その人の個性や特徴を示すものであって、「この型が理想的」という捉え方はしませんが、日本ではへの字型エゴグラムの人が一番多いため日本人の典型といわれています。

への字型はNPが最も高く、A、FC、ACの順に低く、CPが最も低くなります。

このタイプは5つの自我状態のバランスが良い状態といえ、他人との衝突やトラブルが生じにくい型といわれています。

への字型が一番多いというのは、和を尊重する日本人らしいといえます。

N型エゴグラム

N型エゴグラムは、NPとACが高く、CPとFCが低いタイプで、自分の子共に対するように他人に対しても自分を犠牲にして献身的に尽くす優しい人です。

面倒見が良く思いやりのある人ですが、自分の立場や技量を考えずに行動してしまう危うさがあるため、人に利用されたりだまされたりしやすい型でもあります。

また、劣等感の強い型でもあり、だまされたときの落胆ぶりが大きい傾向にあります。

一番の短所は、人生や周囲に対する厳しい目に欠け優柔不断なところなので、そういった面を意識的に補う必要があります。

逆N型エゴグラム

CPとFCが高値で、NPとACが低値の逆N型エゴグラムは、高い理想と旺盛な好奇心をもち、目標を見つけては邁進していく傾向があります。

時代に先駆けた組織のカリスマ的リーダーになったり、クリエイティブなものを次々と創りだす芸術家なども多いようです。

何としてでものし上がろうとする野心家タイプなので、目的のためなら手段を選ばない面もあり、他人を踏み台にしたり、ワンマンな態度をとってしまうこともあります。

といっても、この型の良さが出れば、芸術な独創性が必要とされる分野で成功する可能性も大きいといえます。

冷淡さや頑固さ、利己的な面を多少修正できれば、非常に有能な人材となる可能性を多分に秘めています。

V型エゴグラム

V型エゴグラムは、CPとACが高く、FCあるいはAが低いタイプです。

この型は、自分にも他人にも厳しく支配的なCPと、自分を押し殺し周囲に同調してしまうACが高いため、常に自己矛盾を感じてしまう傾向にあります。

このタイプは、自分にも他人にも否定的で不満を覚えているにも関わらず、他人の評価を気にして遠慮がちになってしまうため、なかなか思っていることが言えずストレスを溜めこんでしまうことが少なくありません。

W型エゴグラム

W型エゴグラムは、CP・AC・Aが高く、NPとFCが低いのが特徴です。

W型エゴグラムは、V型エゴグラムと同じく、CPとACが高いため自己矛盾による葛藤をいつも感じていますが、加えてAも高いのでその悩みは深くなる傾向にあります。

厭世(えんせい)タイプともいえ、時代や社会の情勢、自分の技量や立場を見抜ける観察眼を持ち、厳格で論理的な批判精神をも持っています。

激しい自己否定感を抱いていることも少なくないため悩みがちですが、Aの論理的思考力を活かせば意識変革も難しくはありません。

M型エゴグラム

M型エゴグラムは、NPとFCが高く、CP・AC・Aが低いのが特徴です。

優しく朗らかでユーモアのセンスがあり、人付き合いが上手なので、クラスの人気者やムードメーカーになるタイプです。

楽観主義者で、見通しが明るかろうが暗かろうが、いつも楽しいムードを醸し出しています。

思いやりがあって面倒見もよく、好奇心や表現力に富んでいるなどの長所がたくさんある人なのですが、ルーズで気ままという欠点もあります。

現実の生活に疎いため、人に利用されやすく調子に乗りやすいので、気を引き締めて地に足を着ける必要があります。

逆V型エゴグラム

逆V型エゴグラムは、Aが高く、CPとACが低いタイプです。

Aが高いので現実的・合理的なので仕事の能力は高いのですが、CPが低いため責任や義務を負ったり規則を守ることが好きではありません。

また、ACが低いため協調性に乏しく、他人の意見に耳を貸さない傾向があります。

頭でっかちの評論家タイプ、といわれることもあり、論理ばかり並べて行動や責任が伴わないと評されることもあります。

右肩下がり型エゴグラム

右肩下がり(左上がり)型エゴグラムは、CPが最も高値で、NP、A、FC、ACの順に低くなるのが特徴です。

昔ながらの頑固親父タイプともいわれ、融通性に乏しく他人の意見を素直に聞き入れない傾向があるため、ACを高める必要があります。

また、社会的な決まりの枠内でしか動けず、義理人情や常識を外れることがないため頼りになる人ではありますが、面白味に欠けるともいえるので、趣味や楽しみを持つことも大切です。

右肩上がり型エゴグラム

右肩上がり型エゴグラムは、CPが最も低く、NP、A、FC、ACの順に高くなるのが特徴です。

子供っぽいタイプともいわれ、素直で従順なので協調性は高いのですが、主体性や責任感に乏しい傾向があります。

自己中心性や依存心が顔をのぞかせる場合もあります。責任感をできるだけ持つようにしてCPを高めるとともに、他人を思いやるようにしてNPを高めていくことが大切です。

平坦型エゴグラム

すべての自我状態が高い(14点以上):超人タイプ

責任感、優しさ、論理性、自由度、協調性、すべてを高い水準で兼ね備えている平坦型エゴグラムです。

自我のバランスが良いため、一見平凡な人間に思われることが多いタイプですが、深く付き合うほど内面の奥深さが分かってくる人でもあります。

すべての自我状態が普通(8~13点):中庸タイプ

5つすべての自我を過不足なく兼ね備えており、目立つタイプではありませんが自我バランスの良い人です。

職業適性なども向き不向きは少ないですが、反面、非常に得意という分野も少ない傾向にあり、努力を怠ると処理能力が落ちやすいという欠点があります。

すべての自我状態が低い(7点以下)

すべての自我が極端に低い平坦型エゴグラムの場合、心の病が原因かもしれません。

エゴグラムが示すのは、その人の固定された性格ではなく、その時々の自我の状態です。

責任感、優しさ、論理性、自由度、協調性、すべてが初めから乏しいという人はめったにいないはずなので、うつ病や不安神経症である可能性があります。

まずはFCを高められることが大切なので、楽しいと思えることを見つけ、没頭できるようになることを目指しましょう。

エゴグラムで相性診断する方法

個人の自我状態がわかり、性格がはっきりしたところで、気になるのが相手との相性ですよね。

オーバーラップ・エゴグラム

診断によってわかった自我状態同士をてらしあわせることで、自身とある特定の人との相性を調べることができます。これをオーバーラップ・エゴグラムといいます。

オーバーラップ・エゴグラムとは、二つののエゴグラムを重ね合わせ、関係性の特徴や相性を分析する方法です。

基本的な考えは以下のとおりです。

基本的な考え

  • 自我の重なりが0だと重なりはなくなりますが、0点前後なら補い合うことで良い関係を維持することもできる。
  • 自我の重なりがマイナス(お互いに低値)で、さらにその項目数が増えると、逆に言動がかみ合わなくなる

オーバーラップ・エゴグラムでわかること

男女の恋愛相性だけでなく、上司と部下の関係、親子関係、夫婦関係、友達関係などにも応用できるので、「この人と本当に結婚して大丈夫かな?」「なんとなくうまくいかないのはどうしてだろう?」「もっと関係を良くするにはどうすれがいいのだろう?」という場合に、参考になります。

少し面倒なのは、ふたりのエゴグラム診断(グラフ)が必要になるので、相手に先にエゴグラム診断をお願いする必要があることです。

オーバーラップ・エゴグラムの一部診断結果と解説

次は、診断によってわかった自我状態同士をてらしあわせることで、自身とある特定の人ととの相性を分析することができます。これをオーバーラップ・エゴグラムといいます。

例えば男女のオーバーラップ・エゴグラムを行うことで、性格上お互いが結婚するとどういった家庭を築くことができるのかといったようなことが予想できます。

その相性の診断結果を一部紹介します。

V型男性とN型女性

V型男性とN型女性それぞれの特徴
V型男性 CPとACが高く、FCまたはAが低い。自己矛盾を抱え、ストレスを溜めこみがちな男性。
N型女性 NPとACが高く、CPとFCが低い。献身的な優しい女性。
V型男性とN型女性の重なり
重なりが大きい 重なりが小さい 重なりがマイナス
AC A FC

V型男性とN型女性の相性の特徴

この2つのエゴグラムの場合、最も重なりがプラスなのはACなので、お互い何事も慎重に行い、素直で協調的な関係が築けるはずです。

ただ、気を遣いすぎる二人でもあるので、我慢をし過ぎたりストレスを溜めこんで自信を喪失してしまう可能性もあります。

また、お互い嫉妬心が強くひねくれたり反発したりする場合もあるようです。さらに、結婚後子供が生まれると過保護になりがちなので甘やかしすぎないようにしましょう。

次いで重なりが小さいのがAで、論理的に物事を考えることが得意ではないため、客観性に欠けたり感情的になりがちです。

重なりが最もマイナスな自我はFCなので、気に入らないことがあると気分転換できず、いつまで経っても嫌な気持ちを引きずりがちで、それによって関係がギクシャクする可能性があります。

への字型男性とM型女性

への字型男性とM型女性それぞれの特徴
への字型男性 NPが最も高い。自我のバランスが良く、対人トラブルが少ない。
M型女性 NPとFCが高く、CP・AC・Aが低い。優しく朗らかな人気者タイプの女性。
への字型男性とM型女性の重なり
重なりがプラス 重なりが大きい 重なりが小さい 重なりがマイナス
NP FC CP AC

への字型男性とM型女性の相性の特徴

最も重なりがプラスなのはNPなので、愛情や思いやりに溢れた関係が築ける可能性が高いといえます。

ただ、結婚して子供を持った過保護になりがちなので気をつけましょう。次いで重なりが大きいのがFCなので、お互いに好奇心旺盛、朗らかでユーモアに溢れているため、楽しい関係が築けます。

しかし同時に、気まぐれで身勝手な面を持っているので、相手や周りを振り回してしまうこともあります。

重なりが最もマイナスなのはACなので、お互い協調性に乏しく、相手の意見に素直に耳を傾けることが苦手なため、それが原因で不和が生じる可能性があります。

次いで重なりが小さいのがCPで、そのため責任や義務を全うしたり、規則を守ることが得意ではないため、お互い意識して相手に誠実になる必要があります。

逆N型男性とW型女性

逆N型男性とW型女性の特徴
逆N型男性 CPとFCが高く、NPとACが低い。好奇心旺盛な理想主義者で、目標に向かって邁進するリーダー気質。
W型女性 CP・AC・Aが高く、NPとFCが低い。自己矛盾を抱え、Aも高いため苦悩がより深い。
逆N型男性とW型女性の重なり
重なりがプラス 重なりが小さい 重なりがマイナス
CP AC NP

逆N型男性とW型女性の相性の特徴

重なりが最もプラスなのはCPなので、二人とも道徳心や責任感が強く、規律を守ることができ、いつも目標を高く持っているため、大人としての良い関係が築けます。

ただ、他人の意見に耳を傾けない頑固さを持っているため、堅苦しい関係になる傾向もあります。

重なりが最もマイナスなのはNPなので、他人への興味があまりなく、思いやりや共感する心に乏しいようです。

次いで重なりが小さい自我はACなので、二人とも協調性に乏しく、相手の意見を素直に聞くことが得意ではないため、お互いに寛大になる必要があります。

エゴグラムの理想的な活用方法は?

エゴグラム診断結果を使ってオーバーラップ・エゴグラムを行うことによって、二人の相性を診断できることについて説明しました。

しかし、活用できるのは相性だけではありません。恋愛以外で実際にどのようなことに活用できつのかについて説明していきます。

性格を変えるツールとして活用する

エゴグラムは、その人の性格を分かりやすく可視化・グラフ化したものにすぎません。

したがって、「この自我状態が高いと良い」「この自我状態が低いと良い」というバロメータはありません。

しかし、自分の考え方や感じ方の癖を変えたい、周囲との関わり方を改善したいなど目的がある場合、今の自分の特徴を把握し、性格を変えていくツールとして有効だといえます。

エゴグラムによる自分の性格把握方法

  • 最も高い自我状態に注目する
  • その自我状態の基本性質を理解する
  • 最も低い自我状態に注目する
  • その自我状態の基本性質を理解する
  • その他3つの自我状態の高低やグラフの形に注目し、総合的に分析する

自分にとって理想のエゴグラムパターンを描いてみる

自分の性格の特徴が把握できたら、なりたい自分や理想的な自分、人間関係がもっと楽になれるだろう自分のエゴグラムパターンを想像して描き、それに近づくための計画を立てて実行していきます。

理想はなでらかなへの字型

「この型のエゴグラムが一番良い」というものはありませんが、ひとつの目安として、様々な場面に適応しやすくストレスを抱えにくいといわれているのは、CP・FC・ACが普通、NPとAが高い、NPを頂点とするへの字型だといわれています。

さらに、CPとACが真ん中(10点)付近で、NPとAも高すぎないエゴグラムがより健全だといわれています。

といっても、その型が性格が良いとか優れているということではなく、あくまで、適応しやすい・ストレスが少ないという意味です。

自分のエゴグラムを変えていく方法

  • 目標となるエゴグラムパターンを描いてみる
  • 高い自我状態を低くするよりも、低い自我状態を高くすることを目指す
  • 「変えたくない自分」の面に気づく
  • 人間関係が改善できるかどうか試みる

無理して高い自我状態を押し込めない

高い自我を下げるには、その自我自体を下げようとするのではなく、他の低い自我を上げると効果的だといわれています。

5つの自我の和(CP+NP+A+FC+AC)の値は一定になる傾向があるため、いずれかの自我が高くなれば、自然と他の自我が低くなってバランスが保たれるようになっています。

例えばAC高値の人がCPの値を上げると、自然にACの値が下がります。

単なる数値的なメカニズムというわけではなく、CPを上げるということは自分の感情に重きを置くことになるので、相手に合わせがちな自我(AC)とは矛盾するためACが下がるのです。

FCを上げてもACは下がります。自分を優先して自由に振る舞いながら、同時に他人に合わせるということは通常できないからです。

AC高値でNP低値の人は、他人の気持ちを理解してはいないけれど、何となく他人の決定に依存し、周囲に合わせてしまう傾向があります。

その場合、NPを上げて他人の気持ちが分かるようになれば、周囲の意志に頼ってばかりではなくなるはずです。

このように、ある自我状態が高い場合、高値の自我自体を下げるのではなく、他の自我状態を上げればいいのですが、どの自我を上げるかは人それぞれだということが分かります。

POINT

低い自我を上げる方法としては、エゴグラムテストの質問(低い自我に関する項目)に「はい」と答えられるように行動していくのが効果的です。やったことのない行動もあると思いますが、実際に行動してみると、受け入れてくれる人が案外多いことが分かるはずです。

低い自我を上げる方法

さきほど、理想の自分になるためには、低い自我を上げると効果的とお話しました。

それぞれの自我を上げるための具体的な行動を紹介しますので、参考にしてみてください。

CPを上げる具体的な方法

  • 自分の意見や好き嫌いを持ち、はっきり主張する
  • 自分の責任で物事を決定する
  • 本当に自分はこれで満足しているのか、望む水準を少し高めにしてみる
  • 一度決めたら最後までやり遂げる
  • 自分の立場や年齢にふさわしい姿を描き、己に厳しくしてみる
  • 部下や後輩にその場で注意する
  • 約束やルールを守り、他人にもそうさせる

NPを上げる具体的な方法

  • 他人の長所を見つけて褒めるようにする
  • 他人の気持ちを理解できるよう努める
  • 減点法ではなく加点法で他人を見る
  • 自分から挨拶するようにする
  • 誰かが困っていたら、自分から手助けする
  • 他人の否定的な言動に反応しないようにする
  • 機会を見つけ、周囲の人に優しい言葉をかけるようにする

Aを上げる具体的な方法

  • 自分の考えや目標を文章化するようにする
  • 同じ状況になったら、自分以外の人はどのように判断し行動するか想像してみる
  • 相手に「それは~ということですね」と確認するようにする
  • 新聞や本を読むようにする
  • 1日、週間、月間、年間の目標を立て、それに基づいて行動する
  • 他人の話を疑いなく信じるのではなく、納得できるまで真偽を調べる
  • 自分の行動に無駄がないかどうか確認する
  • 問題を論理的に分析して結果を予測するようにする
  • 何かに興味を持ったら自分で調べるようにする

FCを上げる具体的な方法

  • 嫌な気持ちのままでいることをやめ、楽しいことを考えて気分転換できるようにする
  • 自分が心から楽しいと思える趣味を見つける
  • やったことがない新たなことに試してみる
  • 生活全体の中で、遊びに割く時間を増やす
  • 自分から人の輪に入っていくようにする
  • 他人を笑わせたり楽しませることを意識する
  • 「美味しい」「嬉しい」などの感情を、言葉や態度で表わすようにする

ACを上げる具体的な方法

  • 相手の立場をよく考え、相手を立てるようにする
  • 相手の気持ちや考えを確認し、相手の感情を逆なでしないようにする
  • 時には遠慮して相手の顔色をうかがったり意見に従ってみる
  • 「すみません」という言葉を意識して使う
  • 主張があっても1/3は言わずに引っ込める
  • 何か行動を起こすとき、他人の許可を取ってからする
  • 批判したくなってもぐっとこらえ、言われた通りやるようにする

エゴグラムで自分の性格を研究そして理想の自分へ

エゴグラムを分析することで、自分自身を再発見できた方も、「この気持ちは何だろう」というモヤモヤが取れた方もいらっしゃるかと思います。

現在の自我状態は、それぞれの環境でより良く生きていけるよう工夫してきた心の在り様です。

どのパターンが良いというわけでも悪いというわけでもありません。子供時代から一生懸命工夫してきたものなのです。

ただ成長した今、その自我状態によって生きづらくなっているのであれば、エゴグラムを利用して改善していくことは可能です。

子供時代にできた工夫を、大人の私たちに修正できないはずはありません。無理をせず、できる行動から挑戦して、少しずつ理想の自我状態に近づけていきましょう。

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