水道水のカルキ抜きは必要?カルキのメリットデメリットとカルキ抜きの方法

水道水に含まれているカルキは「身体に毒なのでカルキ抜きをしないといけない!」と考えている人もいます。

しかし、本当にカルキは身体に毒なのでしょうか?実はカルキにはデメリットもある反面、水を清潔に保ってくれるという一面もあります。

この記事ではカルキのメリット・デメリットに合わせて、水道水からカルキを抜く方法について紹介します。

メリットとデメリットを理解した上で、カルキ抜きが必要と感じられた場合には、ここで紹介する方法でカルキ抜きをしてみましょう。

水道水に含まれるカルキとは?

まず、カルキとは一体何なのかについて説明していきます。カルキとは、正式には次亜塩素酸カルシウムといいます。次亜塩素酸カルシウムは石灰の一種で水道水に含まれています。

カルキのメリットは殺菌作用

水道水に石灰を入れているのは、カルキに強力な殺菌作用があるためです。

水道水の中には微生物など様々な雑菌が含まれており、そのままの状態で水を飲むと身体に雑菌が入り危険であるため、カルキを入れて消毒をする必要があります。

水道水を清潔に保つには、殺菌作用のあるカルキは欠かすことができません。

日本の水道水は非常に綺麗な状態に保たれていますが、これは「水道法」と呼ばれる法律で厳しく管理されているためです。

水道法では大腸菌などの細菌や、多量に摂取すると人体にとって毒となるフッ素やヒ素などが水道水に含まれないように、いくつもの基準や検査項目を設けています。

水中の微生物が増殖するのを防ぐためにもカルキは必須ですが、そのカルキが人体に害を与えないように上限がきちんと決められています。

塩素については以下の記事で解説しています

塩素水道水に入ってる塩素の役割と残留塩素が身体に与える影響や除去する方法

カルキは身体に毒なの?カルキのデメリット

ここまでカルキは水道水を清潔に保ってくれるというメリットを紹介してきました。では、カルキは身体にとって毒はまったくないのでしょうか?

残念ながらカルキにはメリットだけでなくデメリットがあります。どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。

デメリット
  • 皮膚がダメージを受けるリスクがある
  • 髪がダメージを受けるリスクがある
  • 呼吸器系がダメージを受けるリスクがある

文字だけ読むとカルキは身体に非常に有害で危険なイメージをもたれるかもしれません。しかし、いずれも神経質になりすぎる必要はありません。

この3点についてもう少し細かく説明します。

皮膚がダメージを受けるリスクがある

カルキの1つ目のデメリットはお肌への影響です。とはいえ、それほど神経質になる必要がないことは先にお伝えしておきます。

カルキにはたんぱく質を破壊して、細胞を破壊する力があります。

これにより肌のバリア機能を壊してしまい、そこから細菌が侵入して肌が炎症を起こしてしまうことがあります。

ただし、日本の水道水はカルキの残留量が非常に厳しく規定されています。

この規定があるため、ほとんどの人は水道水で顔を洗っても、肌荒れすることはありません。ただし、肌が過敏な方や肌荒れがひどいという人は、カルキ抜きした水で洗顔や手洗いを行ってみるといいかもしれません。

もし、それで肌荒れが治まるようであればカルキが影響している可能性があります。とはいえ、肌にダメージを受ける人はほとんどいないので、あまり過敏になりすぎる必要はありません。

髪がダメージを受けるリスクがある

これに関しても肌荒れと同様で、カルキがたんぱく質を破壊してしまうため、水道水で髪を洗うと髪がギシギシになるという人もいます。

しかし、これもすべての人の髪がダメージを受けるわけではありません。もし、シャンプーやコンディショナーを変えても、どうしても髪がギシギシになるという場合は、一度カルキ抜きした水を使って髪を洗ってみるのもありでしょう。

これで髪質に変化が出たなら、あなたの髪はカルキでダメージを受けている可能性があります。

大切なことは髪の荒れが本当にカルキから来ているかを正しく判断することです。「誰かに言われたから浄水器をつける」のではなく、まずは本当に自分の身体に合っていないか試してみましょう。

呼吸器系がダメージを受けるリスクがある

カルキは25℃以上になると気体になって空気中に浮遊すると言われています。特にお風呂などではカルキの成分が空気中に浮遊しています。

空気中に浮遊したカルキの成分を吸い込むことで、鼻の粘膜や口の中だけではなく呼吸を行う肺などもダメージを受けることがあります。

また、カルキだけでなくヒ素も水道水に含まれており、ヒ素を大量に取り込むと呼吸器系の病気を引き起こす可能性があると言われています。

水道水に含まれているヒ素の量が11~50μg/Lの水を飲んでいる人は、10μg/L以下の水を飲んでいる人に比べて、1.51倍も呼吸器系の病気が多かったという研究結果があります。

ただし、日本の水道水のヒ素の量は10μg/L以下と規定されています。このためヒ素に関しても、日本で水道水を飲む場合にはそれほど心配する必要はありません。

カルキ抜きは本当に必要なの?

ここまでカルキのメリットとデメリットを見てきました。ここまでの話を整理すると、カルキは水道水の中に含まれている微生物や雑菌を除去するために必須の成分です。

一方で様々な有害性も指摘されていますが、日本の水道水の安全基準は非常に厳しくカルキが身体に与えるダメージは非常に小さいと考えられます。

ただし、カルキが身体にダメージを与える可能性がゼロというわけではありません。この為、肌や髪に何らかの違和感がある人は、カルキ抜きした水を試してみるのもありです。

繰り返しになりますが、水道水が必ずしも悪いというわけではありません。

日本の水道水は清潔な状態を保っているため、身体に合わないと感じていないのなら無理に浄水器を設置したりウォーターサーバーを設置する必要はありません。

カルキ抜きを自宅で手軽に行う方法

カルキが入っていない水を手軽に手に入れるには、浄水器やウォーターサーバーを設置するのが1番簡単な方法です。

ただし、浄水器やウォーターサーバーは費用がかかります。ちなみにミネラルウォーターは絶対安全と考えられている方もいますが、必ずしも安全というわけでありません。

先ほども述べたように水道水は厳しく基準値を管理されています。一方でミネラルウォーターの基準値は、水道水よりも低く設定されています。

例えば、先ほど呼吸器に影響がある物質としてヒ素を挙げましたがヒ素は水道水では10μg/L以下と規定されていますが、ミネラルウォーターでは50μg/L以下と既定値の上限が5倍も高くなっています。

これだけを見ても、ミネラルウォーターが必ずしも安全とは言えないことがわかってもらえるかと思います。

とはいえ、メーカーによっては非常に厳しく基準値や水質の管理を行ってくれているミネラルウォーターもあります。ウォーターサーバーを導入しようと考えている場合は、値段だけではなく、水の質に関しても中身もしっかりとチェックしてください。

浄水器やウォーターサーバーを設置する以外にカルキ抜きを行う方法

浄水器やウォーターサーバーを設置する以外に、カルキ抜きを行う方法はないのでしょうか?実は手軽に行える方法がいくつかあります。

今回はそんな中でも手軽に行える4つの方法について紹介させて頂きます。

日光に当てる

カルキに含まれている塩素は紫外線により分解されてしまいます。このため、日光に当てておくことで自然にカルキ抜きされます。6時間以上日光に当てることでカルキが除去されるため、よく晴れた日に水の入ったペットボトルを窓際や外に置いておきましょう。

日光が当たらないと外に置いておいても、カルキは半分程度しか除去されませんので、必ず日光が当たるところに水道水を置いておくようにしましょう。

沸騰させる

沸騰させることでカルキを除去する方法もあります。ただし、この方法は余りオススメできません。というのもただ沸騰させるだけではなく、40分ほど沸騰させ続けないとカルキが抜けないためです。

約40分も沸騰させ続けるというのはあまり現実的ではありませんし、それだけの時間沸騰をさせると水に本来含まれているミネラルなどの栄養素も破壊されてしまいます。

また、40分沸騰させるのが面倒だからという理由で沸騰させてすぐの水道水を使用される方もいますがこれもよくありません。

短時間沸騰させた水道水は、危険な物質であるトリハロメタンが最も増えた状態にあります。通常の水道水に比べて約2~3倍増えているため、短時間の沸騰をさえるくらいなら普通の水道水を飲むようにしましょう。

レモンを数滴加える

レモンを数滴加えることで水道水のカルキを抜くこともできます。ポイントはレモンに含まれているビタミンCです。

ビタミンCは塩素と結合して塩素を除去する効果があります。カルキに含まれている塩素も除去してくれるので非常に手軽にできてオススメです。

ただし、カルキの臭いが強い地域ではカルキの臭いが取りきれないケースもあり、水の味がレモンの影響で変わってしまうというデメリットもあります。

木炭(備長炭)などを加える

木炭や竹炭は水道水のカルキを抜いてくれる効果があると言われています。実際に水道水をカルキ抜きする用の木炭や竹炭も販売されていますので、それらを使ってカルキ抜きするのも手軽でおすすめです。

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カルキ抜きできると勘違いされている方法

最後にカルキ抜きされると勘違いされがちな方法について紹介しておきます。それは水道水をよく振るという方法です。

容器などに入れて密閉してよく振ることで水道水のカルキ抜きができるという意見がたまにありますが、実際にはよく振っても水道水に含まれている塩素の量はほとんど変わらないそうです。

カルキを抜きたい場合は水を振るのではなく、先ほど紹介した4つの方法で行うようにしましょう。

カルキはあまり気にしすぎないでOK

水道水のカルキのメリット・デメリット、そしてカルキ抜きについてご紹介してきました。

あまりイメージのよくないカルキですが、日本の水道水は非常に厳しく規定されており、カルキの入った水道水が身体に悪い影響を与えることはほとんどありません。

むしろ、カルキは水道水を清潔に保つために非常に重要な働きをしてくれています。しかしながら、人によってはカルキが肌や髪に影響を与えてしまうこともあります。そんな場合は水道水をカルキ抜きして使うようにしてみましょう。

カルキのない水を簡単に使う方法は、浄水器やウォーターサーバーを設置することですが、そこまで行わなくても手軽にカルキ抜きを行う方法がいくつか存在します。

カルキ抜きを行いたいという方は、まずは自宅で手軽に行える方法を試してみて、それで体調や肌などに変化が見られるようであれば、実際にウォーターサーバーや浄水器の設置を検討してみましょう。

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