切り替え前に知りたい新電力のメリットデメリット

新電力のメリットデメリット

光熱費を削減したい方の中には、節電だけでなく電気料金プランの見直しを考えているかと思います。しかし、新電力によって電気料金プランの方向性や内容が異なるため、悩んだ結果切り替えない方もいるのではないでしょうか。

新電力には多くのメリットもあるので、年間の電気料金を3000円や6000円など安くできる可能性があります。しかし、新電力に切り替えたからといって、必ず安くなる訳でもありません。

ここでは切り替え前に知りたい、新電力のメリットとデメリットを解説します。そして、どのような方に、どんなプランが合っているのかご紹介していきます。

新電力のメリット

新電力には、大手電力会社にはない独自のサービスやプラン内容、そしてメリットも数多く存在します。また、新電力は電力以外の業種から参入している事例も多く、別のサービスとセットになったプランも提供されています。

生活スタイルや電気の使用状況を把握している場合は、相性の良い新電力を探しやすいので、把握していない方は電力使用量などを確認しておきましょう。

電気料金を安くできるケースがある

新電力へ切り替えることで得られる大きなメリットは、電気料金を安くできる点です。

新電力は、大手電力会社よりも電気料金を抑えられるケースもあるため、電気の使用状況とプランの相性が良ければ年間3000円や8000円安くできます。

具体的には、以下のように電気使用量とプランの方向性が合っていると、電気料金を安くすることも可能です。

1毎月の電力使用量500kWh以上

電気使用量の多い世帯向けのプランがある新電力を選ぶ

2毎月の電力使用量200kWh以下

電気使用量の少ない世帯向けのプランがある新電力を選ぶ

メリットを活かすためには、まずは毎月の電気使用量を確認して、どの新電力と相性が良いのか考えることが大切です。

割引プランなどが豊富

大手電力会社も割引サービスを提供していますが、新電力は各社さまざまな割引特典を付けた電気料金プランを用意しています。

たとえばENEOSでんきは、石油会社のJXTGエネルギーが運営している新電力で、割引・特典を加えたプランも特徴的です。

1にねん とく2割

にねん とく2割
2年以上の継続契約を行うと、1kWhあたり0.2円割引してくれるプラン。また、3年目以降は1kWhあたり0.3円の割引額に増額。

参考 にねん とく2割JXTGエネルギー
2カード割引

ENEOSカードやシナジーカードで電気料金を支払うと、ポイント還元やガソリン・軽油・灯油代を割引。

このように新電力の場合は、電気料金プランに割引サービスを加えるパターンと、自社の他サービスに割引が適用されるパターンなど、バリエーション豊かです。また、ENEOSでんきでは、年間1000円近くまで割引できます。

割引や特典も気になる方は、新電力のメリットを感じやすいでしょう。

新電力独自のセットプランがある

新電力の多くは、電力以外の事業も展開していることもあり、他分野の事業と掛け合わせた電気料金サービスを提供しているのも大きな特徴です。

ENEOSでんきガソリンや灯油代などの割引サービス
auでんき自社サービスauウォレットへのキャッシュバックサービス
HISでんき旅行回数に応じて基本料金を割引

他にも多数の企業が新電力に参入していて、電気料金プランに自社サービスを組み合わせています。また、特典や割引サービスも提供しています。

新電力を切り替える時は、セットプランの適用条件や割引額、特典などを確認した上で、お得かどうか判断することもおすすめです。

シンプルなプランで分かりやすい

新電力の多くはシンプルなプランで構成されているため、これまで苦手意識・敬遠していた方も切り替えやすいかと思います。

大手電力会社の電気料金は、以下の項目が含まれています。

東北電力:従量電灯Bの場合

基本料金アンペア数に応じて単価が変わる
電力量料金使用電力に応じて3段階まで単価が変わる
最低月額料金最低契約料

そして電力量料金は、毎月の使用電力に燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金を加えて算出します。

比較的シンプルな従量電灯Bでも、人によっては難しいと感じるかと思います。特に電力量料金の3段階制は、分かりにくいでしょう。

新電力の場合は、基本料金0円で1段階制の電力量料金で提供しているケースが多く、電気料金や契約が苦手な方も、理解しやすい内容です。

燃料調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金とは

燃料費調整額とは、火力発電などに使用している燃料価格の変動額を反映させた項目です。つまり、電力会社が仕入れた燃料コストを、電気代に含めるため「燃料費調整額」という項目を用意しています。

また、大手電力会社が再生可能エネルギーを買い取る際に発生するコストを、再生可能エネルギー発電促進賦課金でまかなっています。

環境に配慮した電気料金プランを選択できる

新電力の中には電力の小売り事業だけでなく、発電事業も参入しているケースもあります。そして発電事業も手掛けている新電力は、風力発電や太陽光発電など環境に配慮した発電設備を運用していることも多いのが特徴です。

そのため環境問題に対して関心が高く、なるべく自然に配慮した電力会社と契約したいと考えている方にもメリットがあります。

再生可能エネルギーを活用した新電力は、自然電力などが代表的です。

自然電力は、自然エネルギーのみで電力供給することを目指しています。そして全国70ヶ所以上に発電所を設置していて、太陽光発電所や風力発電所、水力発電所を運用しています。

CO2削減量は年間26万トンの実績があります。

自然環境への配慮を目的とした、節電や新電力への切り替えを検討している場合は、自然電力など環境配慮型の新電力を選びましょう。

電力の安定性や送配電には影響しない

大手電力会社から新電力へ切り替えても、電力の安定性や送配電に影響しません。人によっては、発電や送電網が変わるのではないかと心配するかと思います。

電力自由化とは、あくまで電力の小売り事業が自由化されただけですので、電力の安定供給に重要な送配電は大手電力会社10社が引き続き管理しています。また、新電力に切り替えたとしても、送配電網は大手電力会社の設備を使用しています。

発電に関しては、新電力が発電した電気を使用することもあります。しかし、万が一発電できない状態となった場合は、大手電力会社へ自動で切り替わるため停電リスクはありません。

新電力のデメリット

新電力に切り替えることで、電気料金を安くできる可能性もありますがデメリットもいくつかあるため気を付けましょう。

解約金を設けている新電力がある

新電力へ切り替えるために条件や制限はありません。しかし、契約解除する際に解約金・違約金を設けている新電力もあるので、事前に契約内容を確認しておきましょう。

以下に、いくつかご紹介します。

 HTBエナジー:1年未満の解約に限り2000円(税抜)の違約金が発生。1年以上の契約の場合は、以後違約金は発生しない。
 ENEOSでんき:2年とく²割の場合、更新月以外に解約すると解約手数料1100(税込)が発生。更新月とは23・24ヶ月目で、解約しない場合は自動更新となる。

解約金の条件は、契約期間や更新月以外に発生するなどさまざまですので、契約書や重要事項は確認しておきましょう。

ただし、解約金の金額については、数1000円がほとんどですので大きな負担ではありません。

シンプルなプランだからといって安い訳ではない

新電力は基本料金0円で電力量料金1段階といった、シンプルなプランも多いものの必ずお得ということではありません。

新電力へ切り替えて電気料金を安くするためには、電気料金プランと自宅の電気使用量・生活スタイルが合っていることが大切です。また、シンプルな電気料金プランを選ぶ場合は、どのような世帯・電気使用量の方針に合わせて作られたプランなのか確認しておくことをおすすめします。

電気料金が高くなる可能性もある

新電力のデメリット・リスクですが、切り替えることで割高になってしまうこともあります。

新電力の電気料金プランは大手電力会社と異なり、特化型のため電気使用量とプランが合っていないと割高になりやすい仕組みです。

主に以下のような方針で、電気料金プランは作成されています。
 電力使用量の多い世帯は電気料金が安くなるプラン:300kWh以上を基準としていることが多い
 電力使用量の少ない世帯は電気料金が安くなるプラン:300kWh未満を基準としていることが多い

新電力は一般的に電力使用量から、基本料金や電力量料金の方針を設定しているため、どちらかの傾向に特化したプランとなっています。

毎月の電力使用量を確認して500kWhや700kWhなどの場合は、LooopでんきのおうちプランやHTBエナジーのプライム50・60などもおすすめです。また、毎月の電力使用量が200kWh前後の場合は、HTBエナジーのウルトラ20などを選ぶことで、電気料金を安くすることも可能です。

ポイントは、自分・家族の生活に合ったプランを選んでいるかどうかです。

オール電化住宅の場合は慎重に考える

オール電化住宅に住んでいる場合は、新電力に切り替えることで割高になる可能性もあるため、慎重に検討しましょう。

大手電力会社が用意しているオール電化プランは、深夜帯など特定の時間帯の電気料金単価を抑えているのが特徴です。そのため、調理や掃除などあらゆる場面で電気を使用する、オール電化住宅でも電気料金を安くできます。

しかし、新電力の多くはオール電化プランを用意していません。そのため切り替えても、電気料金を安くすることが難しいといった事情もあります。

もちろんオール電化プランを用意している新電力はあるので、いくつかのプランから比較検討できますよ。

オール電化プランがある新電力

  • ナンワエナジー
  • 昭和シェル石油
  • エルピオでんき

オール電化住宅で電気料金を安くするには

オール電化住宅の場合は、もう1つ注意点があります。それは原発稼働停止の問題です。原子力発電は火力発電と違い常に一定量の発電を行っているため、夜間など需要の少ない時間帯は電気を利用してもらうために、オール電化プランなどを活用していました。

しかし、2019年時点では火力発電中心のため、夜間など需要の少ない時間帯は発電量を調整できます。そのため2011年以前よりも、オール電化プランのメリットは少ない側面があります。

オール電化住宅にお住みの方で電気料金を抑えたい場合は、太陽光発電の導入など別の方法も組み合わせて検討してみるのがおすすめです。

夜間向けプランなどは少ない

電気を使用する時間帯は、人によって違います。夜に電気をよく使用する場合は、夜間の電気料金単価が安いプランを選ぶのがおすすめです。

しかし新電力の場合は、夜間向けプランなど特殊なプランが少ない傾向です。また、状況によっては、大手電力会社の方が安い場合もあります。

新電力を調べる時は、深夜帯(21時~3時頃)の電気料金単価を下げている電力会社を探しましょう。

たとえば、以下のような新電力は、夜間・早朝向けプランも用意しています。

ミツウロコとくとくナイト
J:COM電力オール電化向けメニュー(夜間・早朝の割引が含まれている)

新電力に切り替える前の注意点

新電力はメリットとデメリットどちらも存在し、事前の準備や計画によって電気料金を安くできたり、反対に割高になったりするのが特徴です。

そのため、初めて切り替える方は、「何に気を付けて準備を始めたらいいのか分からない・・・」といったことで悩んでいるかと思います。

ここからは新電力に切り替える前の注意点をご紹介します。

現在の電力使用量や状況を確認

新電力へやみくもに切り替えても、電気料金を安くすることはできません。まずは、現在契約している電気料金プランと、電気の使用状況を確認することが大切です。

最低限確認すべき項目
電気料金プランA数や単価の確認
電力使用量1ヶ月・1年の電力使用量が何kWhか。また、ピークの月も確認。
時間帯日中・夜間・早朝、どの時間帯の使用量が多いか。
曜日曜日:平日と土日どちらの使用量が多いか

電気料金プランは、新電力の電気料金プランと内容や単価を確認するために必要です。また、新電力の中には、10Aや20Aが無い場合もあるためA数も把握しておきましょう。

電力使用量の確認は、各新電力の方向性(使用量の少ない・多いどちらに向いているか)と比較・確認するために大切です。たとえば、現在の電力使用量が500kWh以上であれば、LoooPやHTBエナジー、楽天エナジーなどから比較します。

複数の新電力を比較検討する

新電力を選ぶ時は、1社ではなく2社以上から比較検討するのがおすすめです。

1社だけでは電気料金を安くするための情報が少ないので、できれば3社以上から比較検討してみましょう。また、新電力の探し方ですが、多くのウェブサイトで一覧情報を載せているので、営業エリアから絞りつつ複数社を比較します。

サービス対応の良い新電力から選ぶ

新電力を比較検討する時は、問い合わせ時の電話・メール対応などにも気を付けてみましょう。電話対応が雑だったり説明不足だったりする場合は、契約時の対応も遅かったりミスが発生したりする可能性もあります。もちろん、一部の担当者のみの問題も考えられますが、リスク回避という点で慎重に検討しましょう。

メールの場合も返信の早さや文面を確認してみるのがおすすめです。

契約内容を確認

新電力の契約内容は、各企業で細かな違いがあります。分かりやすい項目では、解約金の有無や条件です。

新電力によっては解約金無しのケースもありますが、契約金1年未満は解約金ありなど、契約期間に縛りを設けている場合もあります。

他にも電力量料金1段階や3段階など、電気料金の仕組み自体も違うため料金計算なども細かく確認しておくことが必要です。

新電力に切り替える方法

新電力に切り替えるためには、契約手続きと現在契約しているプランの解約が必要です。しかし、初めて切り替える方にとっては、不安な部分も多いので分かりやすく解説していきます。

新電力への切り替え

新電力に切り替えるためには、まず新電力に問い合わせ・申し込み手続きを行います。そして、切り替え手続きに入りますが、大手電力会社のプランを解約しなければいけません。

解約手続きについては新電力側で対応してくれるケースと、契約者側で対応するケースがあります。もし、契約社側で対応しなければいけない場合は、大手電力会社へ問い合わせて廃止申込書(解約に必要な書類)の提出を行います。

廃止申込書は各電力会社の公式サイトからダウンロード可能です。

その後は、新電力側で切り替え手続きを行い完了します。切り替えには1ヶ月もしくは3ヶ月程度かかるため、余裕をもって手続きを始めることがポイントです。

新電力がおすすめの方

新電力のメリットやデメリットを見てみると分かりますが、人・世帯によって相性の良い新電力は違います。

年間を通して電力使用量が多い

年間を通して電力使用量が多く、なおかつ夜間や早朝に電気をあまり使用しない世帯にも新電力はおすすめです。

新電力の電気料金プランの多くは、従量電灯制Bに相当する仕組みで日中に電気を使用するご家庭に向けて設計されています。また、夜間や早朝割引のプランもありますが、少ない傾向ですので新電力の候補は狭まるでしょう。

  • 毎月の電力使用量300kWh以上
  • 契約A数30A以上
  • オール電化や太陽光発電は設置していない
  • 夜間や早朝はあまり電気を使用しない

電力使用量の多いご家庭の場合は、比較的多くの新電力の中から選べるので一括比較サイトなども活用しながら、お得な電気料金プランを探しましょう。

1人暮らしなど毎月200kWh前後で推移している

最近の新電力は、1人暮らし向けの電気料金プランもあるので、毎月200kWh前後で推移しているご家庭などもおすすめです。

このような電気料金プランは、10Aや20A、200kWh前後の場合に電気料金単価が大手電力会社よりも安くなるよう設定されています。そのため、電力使用量が少ない程お得になるという仕組みです。

  • 毎月の電力使用量が200kWh前後もしくは以下
  • 契約A数が20A以下
  • オール電化や太陽光発電は設置していない

年間を通して電力使用量が少ない方は、電気料金明細などから各新電力と比較検討してみましょう。

新電力のメリットとデメリットを理解した上で選ぶことが大切

電力自由化前は、電気料金を見直したり確認したりといったこと自体していなかったのではないでしょうか。しかし、電力自由化によって新電力が多数誕生し、テレビやネットで新電力や電気料金に関する情報を見聞きするようになり、切り替えを検討する方もいるかと思います。

各新電力は、基本的に特化型のプランですので、40A以上のプランで電気料金が安くなったり、200kWh以下で安くなったりなど限定的です。

そのため、自分や家族の生活スタイルや電気使用量を確認した上で、どの新電力と相性が良いのか比較検討することをおすすめします。

オール電化住宅に住んでいたり夜間や早朝に電気を使用したりする場合は、大手電力会社の方が電気料金を抑えられる可能性もあるので、慎重に検討しましょう。

相性の良い新電力へ切り替えることができれば、年間3000円や9000円など安くできるので、電力使用量やA数、使用時間帯を把握した上で、最適なプランを探しましょう。