「え、こんなことも知らないの?」とさげすんだ言葉と視線を投げかけるなど、人をバカにする人っていますよね。
相手をしているととてもイヤな気持ちになりますが、そういう人は実は心寒くて寂しい人なのです。
人をバカにする態度の裏にある心理、そういう言動を受けたときの対処法を知って穏やかな自分を保ちましょう!
人をバカにする人の心理
人をバカにする人というのは、いったいどういう人なのでしょうか。
人をバカにする人の言動の背後に潜む、心理を学問的な裏付けをもとに分析してみましたので紹介していきます。
自分に自信がない
人をバカにする人の特徴を心理学的に見たときに、いちばん最初に挙げられるのが「自分に自信がない」ということです。
自分の自信のなさを人をバカにすることで覆い隠して、なんとか取り繕おうとしているというわけです。
客観的に観察してみるとよくわかりますが、人をバカにする人は、誰に対してもそのような言動をとるわけではありません。
周囲に一目置かれている人、明らかに自分がかなわないとわかっている人に対しては、逆に媚びるような態度をとります。実はこれも、自分に自信がないことの現れです。
人をバカにする、媚びる、いずれの言動を取るにしても、内面を磨いて自分を高めようとするのではなく、常にだれかと比較する中でしか自分を表現できない人といえます。
自分を認めさせたい
人をバカにすることで、自分の価値をを認めさせようとする人もいます。
そうすれば「バカにした相手と比べて自分のほうが上に立っている」というように周囲が見てくれると勘違いしているのですね。決して内面で勝負しようとしているわけではありません。
人格的に優れている人、人間的に魅力のある人、内面が充実している人は、だれかをおとしめて人の上に立とうなどとは考えません。そんなことをしなくても、周囲が認めてくれるからです。
人をバカにする人の中には、周囲に認められる人に対する憧れや嫉妬の気持ちがあるのかもしれません。
ですが、いくらだれかをバカにして自分が認められたとしても、中身が伴わないのであれば意味がありません。というよりむしろ、だれもその人のことを認めたりしないのではないでしょうか。
もしも同調する人がいたとしたら、その人も、人をバカにする人と同類なのです。
コンプレックスがある
例えば職場での昼休みに、同僚とTOEICの点数の話になったとしましょう。
人をバカにする人は英語にコンプレックスがあり、点数もいちばん低かった時、どんな言動を取るでしょうか。
「英語だけできてもしょうがないよね」と言うかもしれません。あるいは点数のよかった人に対して「あなたにもひとつくらい取り柄があってよかったね」などと悪態をつくかもしれません。
「私は英語が苦手なの」と言ってもだれも軽蔑したりはしないのに、それがコンプレックスであるがゆえに人には見せられないのです。
ですがこのようにバカにした場合、英語にコンプレックスがあるんだなということが、わかる人にはすぐにわかってしまいます。そう考えるとなんだか滑稽ですね。
かまわれたい
自分のことをかまってほしくて人をバカにする人もいます。迷惑な話ですが、何とかして相手の気をひこうとする行動心理は、例えば小学生の男子が気になる女子に意地悪をしてしまうことと同じといえます。
つまり、精神的に大人になれていないということです。
もしかしたら子どものころ、人をバカにする言動をとったら欲求がかなえられたということがあったのかもしれません。
あるいは、人をバカにすることでしか、自分のほうを向いてもらう術を知らないのかもしれませんね。
自分の立場に危機を感じている
イメージしやすいように、ここでも例を挙げて考えてみることにしましょう。
人をバカにする人がいる部署に、新入社員が入ってきたとします。それまでは自分が部署の中心的存在だと思っていたのにみんなの目が新入社員に向いてしまいました。
人気者の自分の立場が危機に! たとえばこんなとき、新入社員をバカにすることで自分の立場を守ろうとする人もいます。その奥にあるのは、自信のなさといえるかもしれません。
ですが、そもそも人気者、中心的存在というのも、自分が思い込んで作り上げた世界のひとつにすぎません。
内面が充実している人は、人気者といった称号を自分につけなくても、きちんと部署の中で輝くことができます。
もしかしたらこのタイプの人は、「人気者」「天才」など、何かの称号にしがみつかなければ生きていけないのかもしれません。
八つ当たりしている
仕事でも私生活でも、うまくいかずにイライラした気持ちを発散させ、ウサ晴らしで人をバカにする人もいます。要するに八つ当たりです。
このタイプは気分によって態度が変わりますから、うまくいっているときにはニコニコと機嫌がよかったりします。
ですから、人をバカにしていると、周囲には「今日は機嫌がいいね」「家で何かあったのかもね」と影で囁かれることにもなりがちな人です。
かわいそうな自分を自分でさらけ出しているようなものですから、哀れにも思えてしまいますね。
相手のためだと考えている
このタイプは、ここまでに挙げたタイプとはちょっと異なります。
バカにされたことで「今に見ていろ!」と伸びていくであろう相手のために、あえてバカにしたような言動を取るタイプです。
言葉を変えれば「反骨精神を呼び起こして、引き上げるため」ですが、このタイプは、部下を持つ上司、選手を指導する監督など、組織での上下関係がはっきりしている場合がほとんどです。
ただし、そのような関係であっても人間性によっては、これまでの前述の心理状態の人に該当することももちろんあります。あまりにも言動がひどい場合は、パワーハラスメントということも考えられますから、冷静な見きわめが必要になります。
人をバカにする人への対処法【その場で編】
人をバカにする人の心理についてわかったところで、それが自分に向けられたとしても、他人に向けられたものであれ、言動を冷静に見つめることができるようになります。
とはいえ、頭ではわかっていてもカチンときてしまうことも当然ありますよね。そんなときにどうしたらいいか、対処法を考えてみましょう。
まずは自分がバカにされてカチンときたとき、身近な人がバカにされている場面に遭遇したとき、その場でできる対処法です。
相手にしない
人をバカにする人は「心寒くて寂しい人間的魅力の薄い人」です。そのような人を相手にしても、自分にとっては何もプラスになりません。
相手をすることは、かえってエネルギーの無駄使いになりますから、「相手にしない」と心に決めておきましょう。
しかし、相手にしないというのは、「無視しろ」ということとは違います。もちろん無視してもよいのですが、そうすると余計にいきり立ってあることないこと言い出しすことも考えられます。
無視するのではなく、「相手のペースに巻き込まれない」ために受け流すことが大切です。
人をバカにする人の言動に乗って逆上したり、言い返したり、あるいは落ち込んだりすれば、相手は満足します。
自分の心の寂しさを紛らわそうとして人をバカにする人のために、あなたを犠牲にすることはありません。
反応しない
先ほどの「相手にしない」と共通する部分もありますが、反応しないというのはもう一段具体的で「相手の言うことを否定したり、反論したりはしない」ということです。
否定や反論は、相手の言い分を自分の中に受け入れて反応していること。それは相手の思うツボです。そうではなく、「なるほどね」「そうかもね」と、否定でも肯定でもない言葉を返していきましょう。
この言葉のやり取りは、水がザルを抜けるようなもので、相手にとっては手応えがありません。
捨てゼリフを残して去っていくようなこともあるかもしれませんが、それも単に寂しさの現れですからあなたが気にすることは何もないのです。
場を離れる
もしも不快になるようなことを言われて耐えられなかったりしたら、その場を離れてもよいのです。
「逃げた」と言われようと関係ありません。何をどう言おうと、どう思おうと、それは相手の問題だからです。
「逃げたと言われたくない」という理由だけで相手をして精神を消耗するのは不毛だと気づいてください。自分のことを守ってあげられるのは自分だけなのです。
もしもほかの人が攻撃の対象になっているようなときには、適当な口実を作って、その場を離れるきっかけを作ってあげてはどうでしょうか。
「ちょっと見てほしいものがあるから一緒に来てくれる?」などと言って、共にその場を立ち去ってしまいましょう。
毅然と言い返す
人をバカにする人のタイプにもよりますが、きっちりと相手の目を見据え、毅然と言い返すことが功を奏する場合もあります。
言い返すといっても、相手の言葉に対して言い返すのではなく、人をバカにする態度に対して言い返すようにします。
例えば「今日の服、安っぽいね」と言われたら、「有名ブランドなので安くないですよ」ではなく、「どうしてそういう物の言い方をするのですか?あまりいい気持ちがしません。」というように人をバカにした態度に関して返します。
この時、声を荒げたり感情的になると相手の思うつぼなので冷静に淡々と言うのがポイントです。
自分の態度に非があることを心の中でわかっている人であれば、態度をあらためてくれる可能性もありますが、これを言っても伝わらない場合は、相手にしないあるいは場を立ち去るのがよいかもしれません。
人をバカにする人への対処法/その場以外で編
人をバカにする人がいる場での対処法をいくつかご紹介しました。
とはいえ、思うように対処できないこともあるでしょうし、うまく対処はできたけれど後になってイヤな思いがぶり返してきたということもあるかと思います。それが人間の自然な感情です。
ここでは、その場で対処できずに溜まったモヤモヤや、ぶり返したモヤモヤの感情処理法をご紹介したいと思います。
人のことをバカにする人のみならず、あらゆる人とのコミュニケーションに役立ちますのでぜひ試してみてください。
その場以外での対処法は以下のとおりです。
- 呼吸に意識を向ける
- 五感に意識を向ける
- 反面教師と考える
- 言葉の力を借りる
- 瞑想をする
以上の対処をする際にポイントが2つあります。それは「結果を出すことを焦らない」ことと「とりあえず1週間は続けてみる」ということです。
それでは細かい説明をしていきたいと思います。
呼吸に意識を向ける
私たちの頭は、常に何かを考えています。何もせずにボーッとしていると思えるときですら「なんであの人はいつも人をバカにするのかしら、いやだわ」などと、思考は絶え間なく続いています。
もしも、人をバカにする人の言動にとらわれている自分に気づいたら、呼吸に意識を向けてみましょう。いつでもどこでもできる方法です。
呼吸に意識を向ける方法
- 息を吸っていると感じながら息を吸う。
- 息を吐いていると感じながら息を吐く。
- これを最低1分程度続ける。
え、呼吸だけ?と思われるかもしれませんが、呼吸に意識を向けることで、ほんのわずかな時間であっても絶え間ない思考から自分を切り離すことができます。そのすき間が大切なのです。
呼吸をするだけですから、1日のうちに何回か繰り返していくうちに徐々に気持ちが切り替わっていきます。
今、この場にいない人のことに思い煩わされることから自分を解放してあげましょう。そして、目の前にあることを楽しんでくださいね。
五感に意識を向ける
呼吸ではなくて、嗅覚・聴覚・視覚・触覚・味覚、いわゆる「五感」に意識を向ける方法もあります。
どういうことか例を挙げてみましょう。
五感に意識を向ける例
- 食事をしているなら、食感、味、のどごしなどを意識してみる。
- かたさや温度など、手にしている食器の感触を味わってみる。
- 座っているおしりの感覚を意識してみる。
上記のことを行い、食事をしながらテレビを見ていても、人をバカにする人が頭から離れず、おいしい食事を味わうこともできなかったり、テレビに集中できないなど、今ここにいない人への思い煩いから自分を解放してあげましょう。
おいしい食事、おもしろいテレビを存分に楽しむのです。やがて、人のことをバカにする人のことなどどうでもよくなってきます。
反面教師と考える
呼吸や五感に意識を向けてみても、どうしても人をバカにする人のことが頭から離れないときは、その人を「反面教師にする!」と考えてみてはどうでしょうか。
人をバカにすると自分の寂しい内面がさらされてしまうことを、その人は身をもって教えてくれたのかもしれません。そう思うと、ちょっとだけありがたい気持ちにもなりませんか?
一歩進んで「気づかせてくれてありがとう」とまで思えれば、モヤモヤはすっきりと消えてしまうことでしょう。ですが、そこまでいかなくても十分です。
言葉の力を借りる
それでもやっぱり人をバカにした人のことを考えてしまうのであれば、とことん考えてしまうのもひとつの方法です。
思考をそこに集中させてしまいましょう。おもしろいもので、そうやって考えているうちにどうでもいいことのような気がしてきます。
そうしたら「まあ、いっか!」と声に出してみてください。小さな声でつぶやくのでもかまいません。その言葉が、自分から不快な感情を切り離すきっかけとなってくれます。
言葉には不思議な力があります。そんなことを言うとちょっと怪しいかもしれませんが、日本には「言霊」という考え方もありますし、言葉が人の行動を変えることは脳科学的にも検証がなされています。
信じる信じないはともかくとして、「まあ、いっか!」よかったら試してみてくださいね。
瞑想をしてみる
少し怪しい方法ではありますが、瞑想は自分の心を落ち着け、自分を取り戻すために効果があるといわれています。
世に知られる経営者たちにも瞑想を習慣にしている人は多くいますが、興味がない場合はパスしてOKです。
瞑想というと、とても難しいことのように思う方もいるかもしれませんが、言葉による簡単な瞑想でかまいません。お風呂中など、隙間時間があるときに行ってみてもいいでしょう。
例えば、仏教が土台となっている『慈悲の瞑想』の言葉を1日に1度唱えるようにしていみたり、最近では「瞑想・マインドフルネス」というアプリでも気軽に瞑想が行えるようになっています。
自分が幸せでなければ人の幸せは願えませんから、まず私自身の幸せを願うことからスタートします。
嫌いな人のために幸せを願うことは、なんだかシャクな気持ちになりますが、それでも続けてみると、少しずつ自分の気持ちが変化していきます。
その気持ちの変化は、人間関係の変化をもたらしてくれます。つまり、人をバカにする人との関係も改善してくれるということです。
人をバカにする人は自分の弱さに向き合えない人
だれかにバカにされたからといって、それはあなたが悪いのではなく、あなたとは関係のないことです。
人をバカにする人の問題なので、そんな人を相手にすること事態バカバカしいことなのです。そんな人を相手にすることはやめましょう。
きつい言い方かもしれませんが、自分で勝手にもがいているだけですから、好きなようにもがかせておけばよいのです。
人をバカにする人は、「自分に自信がない」「自分を認めさせたい」「コンプレックスがある」「かまわれたい」「自分の立場に危機を感じている」「ウサ晴らしをしている」、そんな心寒く寂しい人なのです。
「相手のためを考えている」と言いつつ、パワーハラスメントまがいのことをしている人もいるかもしれません。
その人がきちんと自分の弱さに向き合わない限り、その人の人を馬鹿にする言動は変わることはできません。
その場でできること、その場以外でできる対処方法を役立て穏やかで楽しい日々を過ごしてくださいね。