引っ越しをするときに、何階に住むのかは重要な選択です。
マンションの1階は他の階より家賃が安いし、上の階より空いていることが多いし、何かデメリットがあるんじゃないかと不安に思われる方もいるのではないでしょうか。
一旦入居してしまうと再度引っ越しするのは大変だから、悩んでしまうのも当たり前のことです。
賃貸はもちろん、分譲マンションの購入の場合はさらに大変になるので、物件選びの際に1階に住むメリットとデメリットをあらかじめ把握できていると安心です。
そこで、ここではマンションの1階に住むメリットとデメリットを比較します。
さらにどのような人が1階に住むのが向いているのか、そして1階に住む場合のデメリットの解決方法についてもご紹介していきます。
マンションの1階に住むメリット
それではまず、マンションの1階に住むメリットについて見ていきましょう。
- マンションの入り口が近い
- エレベーターや階段を使う必要がない
- 同じ階の部屋数が少ない場合がある
- 階下への騒音を気にする必要がない
- 家賃が安い
- 駐車場が近い
- 引っ越しが楽
- 庭が楽しめる場合がある
- 荷物運びが楽
- 子どもの転落事故を防げる
- 災害時にすぐ避難できる
- ゴミ出しがラク
- ベランダから締め出された場合に脱出しやすい
それぞれのメリットについて詳しく説明していきます。
マンションの入り口が近い
マンションの入り口は多くの場合1階にあるので、マンションの入り口から自分の部屋までの距離が近いというメリットがあります。
マンションの出入りは毎日行うことなので、部屋までの距離が近いと日々の生活がラクになります。
エレベーターや階段を使う必要がない
1階に住んでいると、自分の部屋に出入りするためにマンションのエレベーターや階段を使う必要がありません。
大きいマンションだと、忙しい朝の時間帯などにエレベータ待ちの行列ができることもあります。
1階に住んでいれば、エレベーターを待つ時間や階段を上り下りする時間を節約することができます。
さらに、エレベーターがないマンションもあります。
重たい荷物をもって階段を上り下りするのは大変なので、エレベーターがない物件では1階に住むメリットがさらに高まるでしょう。
同じ階の部屋数が少ない場合がある
意外と知られていないことですが、1階部分がエントランススペースや駐車場の一部などの共有スペースとして設計されているような物件は、1階だけ部屋数が少ないことがあります。
同じフロアの部屋数が少ないと、人通りが少なかったり同じフロアからの騒音が少なかったりして、よりプライベート感を得ることができます。
まれに1階に一部屋しかない物件もあり、そのような物件ではワンフロア貸し切り気分を楽しむことができるでしょう。
階下への騒音を気にする必要がない
1階に住んでいると、地下に居住スペースがなければ階下への騒音を気にする必要がありません。
2階以上に住んでいる場合、子供が走り回る音などで階下から騒音のクレームが来てトラブルになる場合もあります。
小さい子供がいるなど騒音に気を遣う人の場合は、1階は大きなメリットになるはずです。
家賃が安い
多くの場合1階の家賃は他の階に比べて安くなっています。
このあと詳しく1階のデメリットについてご紹介しますが、防犯面や景観面など1階特有のデメリットがいくつかあります。
これらのデメリットを敬遠する人が多いため、1階の家賃は安くなっていることが多いのです。
駐車場が近い
車を所有している人が1階に住むと実感するメリットが、駐車場が近いということです。
車で外出することが多い人にとっては、車まですぐにアクセスできるのはとても楽です。
特に、疲れが溜まっている帰りに荷物の運搬がラクになるでしょう。
引っ越しが楽
1階の場合、引っ越しの時に荷物の搬入がカンタンなので他の階よりも引っ越しがラクで、引っ越し料金も1階のほうが安くなる傾向があります。
荷物がエレベータや階段で運べるかという心配も不要ですし、万が一ドアを通らない大きな荷物だった場合でも、ベランダから搬入が可能です。
庭が楽しめる場合がある
マンションでは一戸建てのように庭は楽しめないと思われがちですが、マンションの1階ならば庭を楽しめる場合があります。
庭付きの1階ならば、自分だけの庭で広々と洗濯物を干したり、家庭菜園やガーデニングを楽しんだりすることができるでしょう。
荷物運びが楽
1階はエレベータや階段を使う必要がないので、荷物を運ぶのが楽です。
特にベビーカーや大きな荷物を持って外出する人や、足腰に不安がある人は1階のメリットを強く実感するでしょう。
子どもの転落事故を防げる
マンションの高層階に住んでいる場合、子供の転落は常に不安要素ではないでしょうか。
バルコニーに柵があっても、椅子などを足場にして乗り越えてしまうかもしれません。
しかし、1階ならば子供の転落事故のリスクを軽減することができます。
もしベランダの柵を乗り越えて外に落ちたとしても、高さがないのでダメージを最小限に留めることができるでしょう。
災害時にすぐ避難できる
地震の多い日本では、地震などの災害があった場合にすぐに避難できることは大きなメリットです。
2階以上に住んでいる場合、エレベーターが止まったり階段にモノが散乱して通れなかったりして、すぐに避難できない可能性があります。
1階の場合ドアからだけでなく窓やベランダからも外に出ることができるので、より素早く避難ができるでしょう。
ゴミ出しが楽
ほとんどの物件では、ゴミ捨て場は1階に設置されています。1階は最も素早く楽にゴミを出すことができます。
特に小さいお子さんがいる場合、最小限の時間でササっとゴミを出せるととても助かるでしょう。
ベランダから締め出された場合に脱出しやすい
小さなお子さんがいる家庭で意外とよくあるのが、ベランダから締め出されてしまうことです。
例えば洗濯物を干している間に、子供がいたずらして窓を閉めてしまうことがあります。
そんな時1階ならばベランダから外に脱出できたり、外の通行人に助けを求めたりするときに声が届きやすいので、他の階よりも脱出が容易になるでしょう。
マンションの1階に住むデメリット
マンションの1階には多くのメリットがあることをご紹介しました。
しかしマンションの1階にはデメリットもあります。
- 夏に窓を開けたまま寝られない
- 通りから室内が見える
- 住人から部屋の中が見られてしまうことがある
- プライバシーに問題がある
- 日当たりに問題がある場合がある
- 地下や外からの騒音が気になる場合がある
- 1階でも階段がある場合がある
- 湿気が多い
- セキュリティーに不安がある
- 害虫が侵入してくる
- 景色が良くない
- 上層階からの落下物がある
- 猫の侵入がある
では、それぞれのデメリットについて詳しく説明していきます。
夏に窓を開けたまま寝られない
1階の場合窓を開けたまま寝てしまうと、不審者が窓から入ってくる可能性があり防犯面でリスクが生じるので、寝るときは窓を閉める必要があります。
エアコンが苦手な人は、窓を開けて風通しを良くして寝たいという方も少なくないはずです。
通りから室内が見える
通りに窓やベランダが面している場合、通りからベランダや室内が見えてしまうことがあります。
通行人と目が合ったりすると、気まずい感じになってしまいます。
住人から部屋の中が見られてしまうことがある
室内を見られてしまう可能性があるのはマンションの外にいる人だけでなく、マンションの中にいる住人からも意外と見られてしまうことがあります。
1階は共有スペースが多く、特に住人の行き交いが多いエリアです。
1階はエレベータを待っている人が多く、特にエレベータの前の部屋に住んでいる場合は部屋から出入りするたびにエレベータ待ちの住人に部屋の中を見られてしまうことがあります。
プライバシーに問題がある
1階は室内が外から見えやすいので、プライバシーに不安を感じる可能性があります。
開放的にカーテンを開け放したくても、外からの目線が気になってしまいます。
特に女性は洗濯物をベランダに干すのも不安に感じる場合があります。
日当たりに問題がある場合がある
1階はプライバシーに配慮してベランダの柵が高めに作られていたり、目隠しの生垣が設置されていることがあります。
そのため外からの光が差し込みにくくなり、日当たりに問題がある場合があるのです。日当たりが悪いと自然光だけでは部屋の中が暗くなったり、洗濯物が乾きにくくなることがあります。
地下や外からの騒音が気になる場合がある
1階は外からの騒音がダイレクトに伝わりやすくなります。特に部屋が大通りに面している場合、自動車の音や話し声まで聞こえることも・・・。
夜寝ているときに、車のクラクションや大声で歌を歌いながら歩いている人の声で目が覚めてしまう、ということもあるでしょう。
また、まれににマンションの地下に地下鉄や貨物列車などが走っている場合があります。その場合、1階が最も電車の騒音をダイレクトに受けやすくなります。
1階でも階段がある場合がある
1階はエレベータや階段を使う必要がないというメリットをご紹介しましたが、例外として1階でも階段がある場合があります。
デザイナーズマンションなどでは、見栄えのために1階部分を少し高くして階段が付いている場合があるのです。
その他にも雪国で対策として1階を1.5階の高さにしている場合があります。
湿気が多い
1階は地下からの湿気を取り込みやすいため、湿気が多くなりがちです。
さらに防犯面やプライバシー面から窓を開けづらく換気の機会が少なくなるので、さらに湿度が高くなります。
湿気が多いとカビが発生しやすく、洗面所などの水回りや結露の溜まりやすい窓の周り、換気しにくい収納や押し入れなどは、特に注意が必要になります。
梅雨の間に玄関に置いてあったベビーカーを梅雨明けに使おうと開いてみたら、カビがびっしり!ということもあるのです。
セキュリティーに不安がある
1階は空き巣に狙われやすく、セキュリティー面で不安があると考えられます。
警察庁が発表している「侵入窃盗の発生場所別認知件数」(平成30年)によれば、3階以下の共同住宅が3位にランクインしています。
参照:住まいる防犯110番:データでみる侵入犯罪の脅威
ドアから侵入する空き巣の場合、オートロックがないマンションだと共有玄関からより近い1階が狙われやすくなります。
オートロックがあるマンションでも、窓から侵入されることがあるため、やはり1階は侵入しやすく狙われやすくなると考えられるでしょう。
さらに、1階は外から室内が見えやすいため、留守かどうかが分かりやすいというリスクもあります。
害虫が侵入してくる
1階は虫が侵入しやすく、ハエや蚊など空から飛んでくる虫だけでなく、アリなども入ってきやすくなるのです。
特に庭付きの場合はクモや蚊も侵入してくるリスクが高まるでしょう。
景色が良くない
1階は他の階に比べて眺望は良くないことがほとんどです。
綺麗な夜景を楽しみたいなど、部屋からの眺望を望む人には選ばれにくくなっています。
上層階からの落下物がある
1階の場合、2階以上の部屋から落下物があることがあります。
例えば洗濯ばさみや洗濯物、タバコの吸殻などです。
猫の侵入がある
1階は地続きなので、猫などの動物が侵入してくることがあります。
猫はベランダの柵も容易に乗り越えることができます。窓を開けたままだと、いつの間にか部屋の中に入って台所で食べ物を漁られていたということもあるのです。
マンションの1階に住むデメリットの解決策
これまでご紹介したようにマンションの1階にはデメリットもありますが、工夫をすることによってデメリットを解決することもできます。
ここからはマンションの1階に住むデメリットを解決する方法についてご紹介します。
防犯対策
マンションの1階に住むうえでしっかりと対策しておきたいのが、何といっても防犯対策でしょう。
物件選びの防犯ポイント
- オートロックがついているか
- 防犯カメラは設置されているか
- モニター付きのドアホンがついているか
- 窓やベランダが通りからの死角になっていないか
- 人通りがあるか
- 治安は良いか
- 交番は近くにあるか
これらのことに気を付けることで、より防犯に強い物件を探すことができます。
住み始めてからの防犯ポイント
さらに実際に住み始めてからも対策できることは多くあります。
- コンビニに行くなど短時間でも鍵を必ずかける
- 窓の戸締りをしっかりとする
- 窓用の防犯グッズを活用する
- ドアスコープには目隠しをする
- 家の鍵をポストやメーターボックスに隠さない
- ベランダに人が通ると点灯する人感センサーを設置する
警察庁のデータによれば侵入窃盗の侵入手段は無締まりがトップで、ガラス破りよりも多くなっています。
つまり、戸締りをしっかりすることで大きな防犯効果があります。
さらに侵入窃盗の侵入口は窓がトップです。窓もしっかりと鍵を閉めるようにしましょう。
また、防犯フィルムやセンサーアラーム、ロック付きクレセント錠、補助鍵など、窓用の防犯グッズが数多く販売されているので活用するとより安心です。
ドアについている覗き穴であるドアスコープは、特殊な器具を使うと外から中を見ることができてしまいます。ドアスコープには目隠しをしておきましょう。
プライバシー対策
1階は外やマンション住人から室内が見えやすいので、プライバシー対策もしっかりしておきたいところです。
プライバシー対策のために気を付けること
- ベランダはすだれ等で目隠しをする
- 玄関に“のれん”タイプのカーテンをつける
- ミラーレースカーテンを活用する
- 洗濯物は室内に干す
窓につけるカーテンは、普通のカーテンだと外から透けて見えてしまうことがあります。
最近は外から見えにくいミラーレースのカーテンなども販売されているので、プライバシー効果の高いカーテンを選ぶと有効です。
女性の場合は洗濯物はベランダに干すのではなく、部屋干しをしたり洗濯乾燥機や浴室乾燥を活用することが安心・安全と言えます。
逆に男性が住んでいるように装って男物の下着などをベランダに干すのも、一定の抑止効果を持ちます。男性用の下着を干すことに抵抗がなく、防犯面を重視する方にはおすすめの方法になります。
湿気対策
湿気が高くカビやすい1階は、湿気対策も万全にしておきましょう。
湿気対策
- 換気をこまめに行う
- 収納の下にすのこを設置する
- 晴れた日に収納の中のものを天日干しする
- 扇風機やサーキュレータを活用する
- 不用品は処分して風通しを良くする
押し入れやクローゼット、台所のシンク下などは湿気がこもりやすくカビが生えやすいです。下にすのこを設置してその上に物を置くようにすると効果があります。
さらに、晴れた日に扉を開放したり、少し面倒ですが中のものを天日干ししたりすると効果バツグンでしょう。
また、物が多いと空気が通らず、湿気がこもりやすくなるので、思い切って不用品は処分してみましょう。そうすると風通しが良くなり、管理も楽になります。
害虫対策
夏だけでなく、冬でも害虫の侵入の可能性が高い1階。ちょっとした工夫で過ごしやすい環境にしましょう。
害虫対策のため気を付けること
- 網戸は右側にする
- 網戸や玄関周りに虫よけスプレーをする
- 生ごみは水気を切り、袋で2重に縛る
- ゴミはこまめに捨てる
- 玉ねぎは冷蔵庫に入れる
- 防虫効果のあるハーブを栽培する
- 夜は窓を閉めるか網戸にする
簡単にできて効果抜群な対策として、「網戸は右側」を覚えておきましょう。
構造上網戸が左側にあると隙間ができてしまい、そこから虫が侵入しやすくなるのです。網戸は常に右側になるようにしておきましょう。
玄関や窓など外からのアクセスが可能な場所から虫は侵入してきます。網戸や玄関周りに虫よけスプレーをまくと効果があります。
また、虫は室内でも発生します。台所の生ごみはよく水気を切り、袋で2重に縛っておくことで、コバエの発生を防ぎ、匂いで虫を寄せ付けるのを防止することができます。
ペパーミントやローズゼラニウム、ローズマリー、ティーツリーなどのハーブは防虫効果があります。防虫効果のあるハーブをベランダや台所で育てると虫よけになります。
また虫は光に集まるので、夜は窓を閉めるか網戸にしておきましょう。
マンションの1階と2階以上、どちらがおすすめ?
マンションの1階にはメリットとデメリットがあることが分かりました。
デメリットは対策することもできるので、全ての人にとって1階は一度は検討してみても良い選択肢ではないでしょうか。
ここではこれまでご紹介したメリットとデメリットを参考にして、マンションの1階に向いている人、2階以上に向いている人について考えてみます。
マンションの1階が向いている人
- 小さなお子さんのいるファミリー
- 費用を抑えたい人
小さなお子さんのいらっしゃるご家庭は、階下への騒音を気にする必要がない、窓からの転落リスクが低い、ベビーカーでも外からの出入りがしやすいなど、1階のメリットを特に享受することができるでしょう。
1階に住むことは、お子さんの安全を高めるだけでなく、階段の上り下りが必要ない、ササッとゴミ出しができる、階下への騒音問題から解放されるなど、日々の子育てを体力的にも精神的にもラクにしてくれます。
1階ならば外に遊びに行きやすいので、お子さんが活発に外で遊ぶのを促すこともでき親としては嬉しいポイントです。
さらに、専用庭のようなスペースがあれば、夏にプールを出して水遊びをしたりサッカーのリフティングをしたりと、よりダイナミックな遊びが楽しめます。
また、1階は他の階に比べて家賃や引っ越し料金が安い傾向があるため、毎月の家賃や引っ越し代金などの費用を抑えたい人に向いているでしょう。
マンションの2階以上が向いている人
- 一人暮らしの女性
- 景色を楽しみたい人
一人暮らしの女性の場合、防犯面やプライバシー面から2階以上に住む方が安心です。
1階だと部屋の中の様子が見えやすいため女性だと特定されやすく、他の階よりも侵入のリスクが高まります。
部屋からの眺望を楽しみたい人は、1階ではなく高層階に住む方が向いているでしょう。1階はプライバシーへの配慮から、生け垣など目隠しがあることも多く眺望は望めないことが多くあります。
まとめ
防犯面やプライバシー面などから敬遠されることも多いマンションの1階ですが、お子さんのいらっしゃるご家庭など1階を強く希望される方もいます。
家賃が安い、エレベータ待ちから解放されるなど、1階ならではのメリットもたくさんあります。
今回ご紹介したように、1階のデメリットをある程度解決する手段もあります。1階に興味がある方は、デメリットを解決する方法を実際に実践できるか確認してみましょう。
自分にとって1階に住むメリットがデメリットを上回ったり、デメリットは対策によって軽決できると判断できれば、1階に住むのに向いています。
住む場所は毎日の暮らしの快適さを左右する重要な要素です。
それぞれの階の特徴を把握したうえで、自分にとって最適な階を選んでみましょう。